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外科手術の種類

乳房の外科手術には、「乳房切除術」「乳房温存術」の2種類があります。ここではそれぞれについて、手術の概要やメリット・デメリットなどをまとめています。

また、「センチネルリンパ節生検」についても解説しているので参考にしてみてください。

乳房切除術

腫瘍が大きい場合や数が多い場合は、腫瘍が発生した側の乳房をすべて切除する全摘手術になるのが一般的です。

一部切除が適応しそうな場合でも、手術後に放射線治療ができないケース、また患者本人が望んだケースでは全摘手術を検討します。

全摘手術の方法は現在2種類。以下に、それぞれの概要やメリット・デメリットをまとめてみました。

皮下全乳腺切除術

乳房の中のすべての乳腺を取り除くのが皮下全乳腺切除術。

リンパ節などへ転移しておらず非浸潤性の癌であっても、腫瘍のサイズが大きいときや腫瘍がいくつもあるとき、乳房内の広範囲へ癌細胞が広がっているときなどはこの方法が選択されます。

やり方としては、乳房の外側から下へ向かって半円を描くように切開し、中の乳腺だけを取り除いて縫合。表面の皮膚は切除しないため乳輪・乳頭は残ります。

メリット&デメリット

メリットとしては、乳輪・乳頭が残る点、手術後にワキの下が凹んだり肋骨が浮き出ることがない点、乳房での再発可能性が低くなり放射線治療が必要なくなる点などが挙げられます。

逆にデメリットとしては、乳房の膨らみがなくなる点が挙げられます。

胸筋温存乳房切除術

乳房の下の胸筋を残して乳房全体を取り除く方法。皮膚も切除するため乳輪・乳頭もなくなります。

10年ぐらい前までは乳癌切除手術として最も選択されていた方法で、乳房内に癌が広がっているときや腫瘍の数が多いときにはこれが選択されます。

リンパ節に転移がある場合もこの方法を選択し、同時に「腋窩リンパ節郭清」も行います。

メリット&デメリット

メリットとしては、手術後にワキの下が凹んだり肋骨が浮き出ることがない点、乳房での再発可能性が低くなり放射線治療が必要なくなる点が挙げられます。

逆にデメリットとしては、乳房の膨らみがなくなる点、乳輪・乳頭がなくなる点、腋窩リンパ節を郭清した場合は腕のムクミ・運動障害が起こる可能性がある点、胸筋の神経が残っていないと筋肉委縮が起こる点などが挙げられます。

乳房再建をすることも可能!

乳房を切除した後、再建する手術を望む女性も増えています。

自分の身体の別の箇所から脂肪組織等を取り、乳房内に入れることで乳房を再建できるのです。

皮下全乳腺切除術なら乳輪・乳頭は残ったままなので、乳房の膨らみをつくるだけで済みます。胸筋温存乳房切除術の場合は、胸の膨らみをつくった後に乳輪・乳頭も再建します。

乳房温存術

腫瘍の数や大きさ、癌細胞の広がりなどを診断して適応となれば、腫瘍のできた部分のみを切除する「乳房温存術」が選択できます。その場合は、放射線治療を併用するのが条件です。

乳房温存術は切除の仕方により2種類あり、適応されるガイドラインも厳密に決まっています。以下にまとめてみました。

大きい腫瘍なら「扇状部分切除術」

腫瘍が3㎝近くあるなど大きく切除する必要性がある場合は、扇状部分切除術が選択されます。

腫瘍周辺の乳腺を扇型に切り取る方法で、乳房の4分の1程度の範囲を切除するのが一般的です。切除の部分により術後の乳房の形がかなり違ってくるため、事前によく確認しておきたいところです。

メリット&デメリット

メリットとしては、切除範囲が広いため再発の可能性が少ない点が挙げられます。デメリットとしては、乳房の約4分の1を切除するため術後の乳房の形が変わる点が挙げられます。

小さい腫瘍なら「円状部分切除術」

腫瘍が小さい、数が少ない場合には、腫瘍を中心として周辺1~2cm程を円形にくり抜くように切除する円状部分切除術が選択できます。傷口が小さく切除部分も少ないため、乳房の形の変化が少なくて済みます。

最近は傷跡が小さい内視鏡併用手術を行うケースも多くなっているようです。

メリット&デメリット

メリットとしては、切除部分が少なく乳房の形の変化が少ない点が挙げられます。

デメリットとしては、乳房内に腫瘍を取り残すことで再発の可能性が高くなる点が挙げられます。

乳房温存術が適応となる条件は?

乳房温存術を受けるには、クリアしなければならない条件がいくつかあります(乳房内の癌細胞をなるべく確実に取り除き、再発させないための条件と考えましょう)。

以下に適応ガイドラインをまとめてみました。

乳房温存療法が適応となる条件

  • 腫瘍の大きさが3センチ以下
  • 超音波などの各種画像検査において癌細胞が乳管内で広がっているような所見がない
  • 病巣が多数できていない
  • 術後の放射線照射が可能
  • 患者自身が乳房温存療法を希望している

センチネルリンパ生検

センチネルリンパ生検とは、乳房切除手術と同時に行われることが多い「リンパ節郭清」が必要かどうかを判断するための検査です。

「リンパ節郭清」というのは、乳房の病巣部から最初に転移する可能性が高いリンパ節を、乳房切除手術の際に一緒に取り除いてしまう手術のこと。この手術により、リンパ節に転移した腫瘍を取り除けるのはもちろん、今後のリンパ節及び全身への転移を防ぐこともできます。

しかしこのリンパ節郭清を行うと、腕や肩の激しいムクミ、腕の運動障害などを招く可能性もあり、術後のリハビリなど患者にとって負担が大きなものになります。

そこで、患者の負担をなるべく減らせるよう、リンパ節郭清の必要性をしっかり見極めてから行おうという考えで広まったのが「センチネルリンパ節生検」なのです。

センチネルリンパ節生検では、乳房切除手術の際に、乳房から来るリンパの流れを最初に受けるリンパ節である「センチネルリンパ節」を摘出します。

そして、術中に病理診断を行い、癌細胞の有無を確認。癌細胞がなく“陰性”となれば、腋窩リンパ節全体に転移が及んでいないことが判断でき、腋窩リンパ節郭清を行わなくて済む、というわけです。

メリット&デメリット

メリットとしては、リンパ節郭清を行う必要性が確認でき術後の後遺症を防げる点が挙げられます。

デメリットとしては、センチネルリンパ節をすべて取り切れないこともある点、センチネルリンパ節に転移がなくても他のリンパ節に転移している可能性がある点、実施できる施設が限られている点が挙げられます。

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