術前薬物療法

乳癌の治療における薬物療法の中で、腫瘍の切除手術の前に行う薬物療法の目的や効果、治療のスケジュールなどについて解説します。

術前に行うことで腫瘍を小さくしてから手術できる

手術の前に薬物療法を行う目的は、できるだけ癌の進行を食い止め、腫瘍を小さくしてから手術を行うことにあります。

例えば、乳房温存手術を希望する場合、適応条件は腫瘍の大きさが3㎝以下となっています。しかし、ギリギリ3㎝より大きくなっている患者さんは、すべて全摘手術を受けるしか道がない、というわけではありません。術前に薬物療法によって腫瘍を3㎝より小さくできれば、乳房温存手術を選択できる可能性が出てくるわけですね。

また、腫瘍が皮膚の表面まで達していたり、胸筋や胸骨の脇のリンパ節などに転移がある場合などは、局所進行乳癌と診断され、乳房切除手術を行ってもあまり効果がないとして手術をしないケースがあります。そんな進行している病状の場合も、薬物療法を行うことで手術できる病状にまでもっていくことができるかもしれません。

術前に行う薬物療法は、より確実に手術を行い、完治する可能性を広げるための治療法です。

術前薬物療法の方法とスケジュール

切除手術の予定日の4ヶ月~6ヶ月くらい前から、薬剤の投与を始めることが多いそうです。

投与のスケジュールは、通常の抗がん剤治療とほぼ同じ。1回投与したら2~3週間休んで再び投与、また2~3週間休んで投与、というサイクルを4回から6回ほど繰り返します。

抗がん剤は、癌細胞と正常な細胞の両方にダメージを与えますが、正常な細胞の方が抗がん剤への耐性があるので、癌細胞よりちょっと早く2~3週間ほどすると回復し始めます。癌細胞の回復が追いつく前に再び薬を投与することを繰り返し、癌細胞を次第に衰えさせるわけです。

再投与のタイミングは、白血球の回復状況を見て判断するのが一般的。白血球の回復が遅かったり、副作用で体調が悪い時は投与を延期したり、中止することもあります。

術前薬物療法を受ける前に覚えておきたい抗がん剤

術前薬物療法に使用されることの多い薬剤をピックアップして紹介しましょう。下記のもの以外にも、抗がん剤は様々な種類があります。

<アルキル化剤>エンドキサン(記号:CまたはCPA)など

アルキル基という原子のかたまりを、細胞が増殖する際に必要なDNAにくっ付けてDNAの構造を変化させ、増殖を抑制する薬剤。

<抗腫瘍性抗生物質(アンスラサイクリン系)>アドリアシン(記号:AまたはADR)、ファルモルビシン(記号:EまたはEPI)など

細胞分裂や新しい細胞を作る際に必要なDNAと結合し、DNAやRNAの合成を阻害することで、癌細胞の増殖を抑制する

<微小管作用剤(タキサン系)>タキソール(記号:TまたはPTX)、タキソテール(記号:TまたはDTX)など

細胞分裂に関係する微小管に作用して、癌細胞の分裂を阻害する。天然のイチイの木から抽出された薬剤。

術前は強めの薬剤を組み合わせて使用すると効果大

術前薬物療法の主な目的は、腫瘍を目に見えて小さくすることにありますから、比較的効果の強い薬を組み合わせて使用します。

上記の薬剤の中から、特に強い作用があるとされるアンスラサイクリン系のアドリアシン(記号A)やファルモルビシン(記号E)と、タキサン系のタキソール(記号T)などを組み合わせて投与することが多いそうです。

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